「…貴方はそこで何をしてらっしゃるんですか」
「よぅ陸遜」
通路から見える開けた中庭の大きな大樹の上に、背を預けて転がっている見慣れた人がいた。
「暇だし昼寝してたんだよ。それよりお前は何してんの」
彼は、頭だけこちらに向けて、木漏れ日の光に目を細める。
暇って…。今日も朝から軍議があったんですよ。
相変わらず貴方の姿を見つけることは出来ませんでしたけど。
そればかりに気を取られてもいられない、現状に。
逆らうことなく、戦略を立てる。
「また、戦になるんだってなあ」
「…、そう、ですね」
戦になるのを止めたいとは思っていない。
全ては呉の為に、国の為に最善を尽くすのみだ。
それが軍師として与えられている自分の役目。
如何にして、より多くの敵を殺せるか、それを計略として考える。
降伏か、開戦か。
より強大な敵国に立ち向かう為にはどちらかを選ぶべき。
…結果、開戦。
「甘寧殿は…」
「ん?」
少しだけ俯いて、問う。
当の本人は、転がっていた体勢から枝に座り直してこちらを向いた。
「開戦について、どう思われますか?」
罪もない民に対しては、殺意もない、悪意もない。
ただ共通する思いは、守りたいものがあるから、と言うことだけ。
その為に、人を殺め、国をも殺めてしまう。
「…そーだなぁ。俺、お前みたいに頭良くないからさ。戦略とか考えんの苦手だし。
でもま、殿がそう決断されたんならそれでいんじゃね?」
あっさりとした彼の答えには、裏表が無い。隠す言葉などどこにも無い。
正直で、竹を割ったような性格。
その性格が、羨ましいですね。私は貴方のようにはなれませんから。
いくら、望んでいても。
でも何も伝えなくても、心のどこかで望んでいた答えを弾き出してくれる。
…そういうところ、依存してますね、私は。
「……私達は、呉の国を守ることだけ考えていれば良いんですよね。
すみません、余計なこと言いました」
軽く頭を下げて立ち止まっていた足を再び進ませた。
腕には書簡、これからやるべき仕事は山の様。
こんな会話もしている余裕はないのだけれど。
それでも言葉一つで、張り詰めた考えが解けました。
ありがとう、ございました。
「謝んなよ、訳分かんねーから」
そう言いながら腕を伸ばして、伸びをする。
「…じゃあ、ありがとうございました。これで満足でしょうか?」
「うわっ、なにお前!その刺々しい礼!もっと人に礼をする時にはさー、こう柔らかく…」
「貴方に礼の指導をされるとは思ってもいませんでしたね、失礼します」
あぁ、まただ。
肝心な言葉だけは素直に言えず仕舞。
…こういう自分の性格、嫌いです。
踵を返してそのまま部屋へと急ぐ。
直後、背後に何らかの気配を感じて肩越しに振り向いた。
「…何故、貴方がついて来るんですか?」
「陽も傾きかけて寒みーから、今度は陸遜の部屋で寝る」
は!?
「なに言ってるんですか貴方は!ここにある大量の書簡が見えませんか?
これから部屋で片付けるつもりなんですけどね。貴方はその横で寝台で寝るということですか?」
「気にすんなよ。だってお前の寝台、寝やすいんだぜ?この荷物部屋まで運んでやるからさ」
半ば呆然としていた陸遜の腕からその荷を取り上げて、軽そうに肩に乗せて先を歩く。
は、と我に返った陸遜はその後を急いで追いかけた。
「ちょ、いいですよそんな。これくらい運べますから」
「遠慮すんなって」
「遠慮とかそういう問題ではなくて…」
もはや聞く耳持たずで先を歩くのに、がっくりと肩を落とした。
最 悪 だ。
この仕事は明日までに仕上げなければならないのに。
この人が横の寝台で鼾を掻いて呑気に寝ているのが、
頭の7割ほどを支配する。
言い換えれば、全く集中出来ないというわけで。
普段のペースの半分ほどまでに能率が下がる。
とは言え、閉め出すような真似は出来ないのだから。
自分の心とはいえ、複雑だ。
だから最後に折れるのは自分。
能率は落ちるとは言え、「軍師」ではなく「陸遜」として落ち着くのは確かだから。
「…仕事が終わるまで、ですからね」
「そんくらい、俺にだって分かってるって」
ぎゃははは、と楽しそうに笑いながら歩く彼に、半分降参です。
おそらく何も考えてない彼に、二重、三重と考えてしまう自分。
考え方も、性格も、正反対だから、落ち着く。
だから一緒に居て居心地が良い。
けど、その所為もあって意見は食い違うことが多い。
タイミングも。
「子明(呂蒙)にさー、酒貰ったんだけどよー、お前呑む?」
「…呑みませんよ!仕事が山のようにあるって言ったじゃないですか。馬鹿ですか貴方は!」
あぁ馬鹿だ。
この人は本当に自分の現在の考えをすぐ口に出す。
…本当に、馬鹿ですね、貴方は。
別に害したわけではなくて、苦笑というか、そういう気持ちの上での馬鹿呼ばわり。
何だかもう、貴方が馬鹿で安心します。
逆に、貴方がそんなだから、言葉の裏に隠された感情を知られずに済むんですから。
だから、ひとまずは今は馬鹿で居てください。
今は、どうか浅ましい感情に、気づかないで下さいね。
彼は、あーそうだったっけなあーとか取りとめも無い台詞を口にして、また笑い出す。
あぁ、本当に、貴方が馬鹿で良かったです。
…無双SSタイトル「馬鹿」、お送りしました。
楽しかったなー…Vv
それでこの続きはこの前の無双SSSくらいに移ることもあります。
「貴方が軍議に出ないので仕事が私に回ってきて困るんですよ」
みたいな話に。
でも、この後仕事が済んだ陸遜は、甘寧サンを蹴落とすかは微妙。
素直じゃない陸遜が前面に表されますので…こういうコなんですよ。
それとも、仕事済みの書簡を上からドサッと落とすとか。
「起きて下さい。仕事終わったので、そういう約束でしたよね?(笑顔」
…あぁ楽しすぎる(笑)
まぁ気が向けば続きを書くかもです。
なんていうか、日記じゃないですね。テーマは「連載」に配属されるんでしょうかね。
言っておきますが、まだ「友達」です(苦笑)
「よぅ陸遜」
通路から見える開けた中庭の大きな大樹の上に、背を預けて転がっている見慣れた人がいた。
「暇だし昼寝してたんだよ。それよりお前は何してんの」
彼は、頭だけこちらに向けて、木漏れ日の光に目を細める。
暇って…。今日も朝から軍議があったんですよ。
相変わらず貴方の姿を見つけることは出来ませんでしたけど。
そればかりに気を取られてもいられない、現状に。
逆らうことなく、戦略を立てる。
「また、戦になるんだってなあ」
「…、そう、ですね」
戦になるのを止めたいとは思っていない。
全ては呉の為に、国の為に最善を尽くすのみだ。
それが軍師として与えられている自分の役目。
如何にして、より多くの敵を殺せるか、それを計略として考える。
降伏か、開戦か。
より強大な敵国に立ち向かう為にはどちらかを選ぶべき。
…結果、開戦。
「甘寧殿は…」
「ん?」
少しだけ俯いて、問う。
当の本人は、転がっていた体勢から枝に座り直してこちらを向いた。
「開戦について、どう思われますか?」
罪もない民に対しては、殺意もない、悪意もない。
ただ共通する思いは、守りたいものがあるから、と言うことだけ。
その為に、人を殺め、国をも殺めてしまう。
「…そーだなぁ。俺、お前みたいに頭良くないからさ。戦略とか考えんの苦手だし。
でもま、殿がそう決断されたんならそれでいんじゃね?」
あっさりとした彼の答えには、裏表が無い。隠す言葉などどこにも無い。
正直で、竹を割ったような性格。
その性格が、羨ましいですね。私は貴方のようにはなれませんから。
いくら、望んでいても。
でも何も伝えなくても、心のどこかで望んでいた答えを弾き出してくれる。
…そういうところ、依存してますね、私は。
「……私達は、呉の国を守ることだけ考えていれば良いんですよね。
すみません、余計なこと言いました」
軽く頭を下げて立ち止まっていた足を再び進ませた。
腕には書簡、これからやるべき仕事は山の様。
こんな会話もしている余裕はないのだけれど。
それでも言葉一つで、張り詰めた考えが解けました。
ありがとう、ございました。
「謝んなよ、訳分かんねーから」
そう言いながら腕を伸ばして、伸びをする。
「…じゃあ、ありがとうございました。これで満足でしょうか?」
「うわっ、なにお前!その刺々しい礼!もっと人に礼をする時にはさー、こう柔らかく…」
「貴方に礼の指導をされるとは思ってもいませんでしたね、失礼します」
あぁ、まただ。
肝心な言葉だけは素直に言えず仕舞。
…こういう自分の性格、嫌いです。
踵を返してそのまま部屋へと急ぐ。
直後、背後に何らかの気配を感じて肩越しに振り向いた。
「…何故、貴方がついて来るんですか?」
「陽も傾きかけて寒みーから、今度は陸遜の部屋で寝る」
は!?
「なに言ってるんですか貴方は!ここにある大量の書簡が見えませんか?
これから部屋で片付けるつもりなんですけどね。貴方はその横で寝台で寝るということですか?」
「気にすんなよ。だってお前の寝台、寝やすいんだぜ?この荷物部屋まで運んでやるからさ」
半ば呆然としていた陸遜の腕からその荷を取り上げて、軽そうに肩に乗せて先を歩く。
は、と我に返った陸遜はその後を急いで追いかけた。
「ちょ、いいですよそんな。これくらい運べますから」
「遠慮すんなって」
「遠慮とかそういう問題ではなくて…」
もはや聞く耳持たずで先を歩くのに、がっくりと肩を落とした。
最 悪 だ。
この仕事は明日までに仕上げなければならないのに。
この人が横の寝台で鼾を掻いて呑気に寝ているのが、
頭の7割ほどを支配する。
言い換えれば、全く集中出来ないというわけで。
普段のペースの半分ほどまでに能率が下がる。
とは言え、閉め出すような真似は出来ないのだから。
自分の心とはいえ、複雑だ。
だから最後に折れるのは自分。
能率は落ちるとは言え、「軍師」ではなく「陸遜」として落ち着くのは確かだから。
「…仕事が終わるまで、ですからね」
「そんくらい、俺にだって分かってるって」
ぎゃははは、と楽しそうに笑いながら歩く彼に、半分降参です。
おそらく何も考えてない彼に、二重、三重と考えてしまう自分。
考え方も、性格も、正反対だから、落ち着く。
だから一緒に居て居心地が良い。
けど、その所為もあって意見は食い違うことが多い。
タイミングも。
「子明(呂蒙)にさー、酒貰ったんだけどよー、お前呑む?」
「…呑みませんよ!仕事が山のようにあるって言ったじゃないですか。馬鹿ですか貴方は!」
あぁ馬鹿だ。
この人は本当に自分の現在の考えをすぐ口に出す。
…本当に、馬鹿ですね、貴方は。
別に害したわけではなくて、苦笑というか、そういう気持ちの上での馬鹿呼ばわり。
何だかもう、貴方が馬鹿で安心します。
逆に、貴方がそんなだから、言葉の裏に隠された感情を知られずに済むんですから。
だから、ひとまずは今は馬鹿で居てください。
今は、どうか浅ましい感情に、気づかないで下さいね。
彼は、あーそうだったっけなあーとか取りとめも無い台詞を口にして、また笑い出す。
あぁ、本当に、貴方が馬鹿で良かったです。
…無双SSタイトル「馬鹿」、お送りしました。
楽しかったなー…Vv
それでこの続きはこの前の無双SSSくらいに移ることもあります。
「貴方が軍議に出ないので仕事が私に回ってきて困るんですよ」
みたいな話に。
でも、この後仕事が済んだ陸遜は、甘寧サンを蹴落とすかは微妙。
素直じゃない陸遜が前面に表されますので…こういうコなんですよ。
それとも、仕事済みの書簡を上からドサッと落とすとか。
「起きて下さい。仕事終わったので、そういう約束でしたよね?(笑顔」
…あぁ楽しすぎる(笑)
まぁ気が向けば続きを書くかもです。
なんていうか、日記じゃないですね。テーマは「連載」に配属されるんでしょうかね。
言っておきますが、まだ「友達」です(苦笑)
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